Imported From Detroit

chrysler imported from detroit

CHRYSLER SUPER BOWL COMMERCIAL
NFLの優勝決定戦「SuperBowlはアメリカで毎年最も視聴率が高く、広告料も世界で一番高い。
中継で流れたCMはネットやニュースでも話題となるため多くの企業が新作を導入し、ちょっとしたCMフェスになっている。

一石を投じようと受け狙いに走り製品と関係ない内容になる場合も多々あるが、
このクライスラーのコマーシャルはスーパーボウルで流すことに価値があり成功したといえる。
「アイデンティティ」を問いデトロイトの自動車産業が抱える問題や感情そしてプライドを打ち出した物語でありそれをCMにうまく落とし込んだと思う。

ざっくりとだが内容は、、
どんよりとしたデトロイトの街並みの映像が流れる中、ナレーター(デトロイトの代弁者)がラグジュアリー=高級(車)について問い掛け、かつてのデトロイトの誇りであるジョー・ルイス(ボクサー)の巨大な拳のオブジェクト、自動車産業の労働者を描いたディエゴ・リベラの壁画を映しながら何代にもわたり続いてきたデトロイトの自動車産業について語る。

「高級車」となると誰のためにとか生産場所ばかりが重視され、デトロイトの自動車産業が持つ能力についてはあまり語られないことを嘆く。

デトロイトもアメリカの都市だが、ニューヨークシティでもウィンディシティ(シカゴのニックネーム)、シンシティ(ラスベガスのニックネーム)でもなく、ましてやエメラルドシティ(シアトルのニックネーム)でもないことを強調しナレーションは終わる。

ここからビートも入り車を運転するエミネムがはっきり写る。景色も夜に変わり車を降りたエミネムが古いシアターに入りゴスペルをバックにエミネムがビシッと一言。

This is the Motor City, and this is what we do!

ショットがかわり車が走り出し、黒バックにImported From DetroitとクライスラーのロゴでCMは終わる。

景色の変わり方、Loose Yourselfの曲の入り方、ナレーションのトーンの変化、すべて巧みである。

スーパーボウルはまさに誇りと威信をかけた都市と都市とのぶつかり合いで、そんな緊張感の中、このCMのインパクトは強く、確実に人々の記憶に残ったのではないかと思う。
ここ数年、デトロイト・ライオンズは自動車産業以上に低迷しており3年前には史上初のシーズン全敗という屈辱を味わった。ブルーカラーのチーム同士(ピッツバーグvsグリーンベイ)の対決だったこともあり、デトロイトだけでなく両チームを応援している労働者への訴えっかけも大きかったかもしれない。

たった一本のCMで得た成果を考えればスーパーボウルに勝利したのはデトロイトだったとも言える。

追記:
これも途中まで書いたまま長いこと放置していた記事だが、文章を書くのは難しい。

クライスラーのCMだがこれはデトロイトの宣伝であり、最近よく見る「うどん県」のPRとスタンスは違うが
都市の持っているブルーカラーの底力を訴えており、象徴であるディエゴ・リベラの壁画やジョー・ルイスのモニュメントを見せているあたりに意図が凝縮されている。

最後に、近年負け犬だったデトロイト・ライオンズ、今年は好調である。
もしライオンズが強いチームだったらこのCMをスーパーボウル用に作っただろうかとふと思ってしまう。

Nov 03,2011,07:00 pm    Comments (0)
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